目次
ホンダVS日産 続きで競争地位別戦略なるものを調べてみました
前記事では、自動車業界の雄であると思う、ホンダと日産自動車をサンプルにして、経営指標について書きました。
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トヨタ自動車をサンプルに選ばなかったのは、業績が他社より群を抜いているので、比較の対象にしにくかったたからです。
つまり、くだもの小僧は迷わず、トヨタ自動車を自動車業界の「リーダー」と認めていたのでした。
ホンダと日産自動車を選んだのは、なんとなくのいわゆる山勘です。
※ところで、戦国時代の武田信玄の軍師、山本勘助と何か関係があるのでしょうか。閑話でした。
そんな中、自動車業界のことをググっていると、「競争地位別戦略」という言葉が盛んに見受けられました。
「競争地位別戦略」は初耳ではありませんでした。
でも、具体的にどのような戦略かと自問すると、ほとんど思い浮かびません。
それで、改めて調べてみると、自動車業界の競争地位別の図は
リーダー:トヨタ自動車
チャレンジャー:ホンダ、日産自動車
フォロワー:マツダ、三菱自動車
ニッチャー:スズキ、スバル
とのことです。
光岡自動車こそニッチャーである、と聞いたことがありますが、ググっても光岡自動車を
ニッチャーとするサイトは見つかりませんでした。
そもそも「競争地位別戦略」とは何か
フィリップ・コトラーはマーケティングの神様です
「競争地位別戦略」というものを唱えたのは、フィリップ・コトラー(Philip Kotler、1931年5月27日 – )です。
コトラーは他にも、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング(STP)理論や、マーケティングの4P(製品政策:Product、価格政策:Price、広告・販売促進政策:Promotion、チャネル政策:Place)理論などを唱えていて、「近代マーケティングの父」や「マーケティングの神様」と評される有名な人です。経営学者です。
コトラー(マーケティング)の他にも、その道の権威として有名な人がいますので、掲載しておきます。
ピーター・ドラッカー(1909年11月19日 – 2005年11月11日)
:マネジメント
マイケル・ポーター(1947年5月23日 – ):競争戦略
チェスター・バーナード( 1886年11月7日 – 1961年6月7日):組織論
イゴール・アンゾフ(1918年12月12日 – 2002年7月14日):成長戦略
よく見ると、世代が少しずつずれてますね。
業界内の企業を「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」
「ニッチャー」に分類・位置づけ
競争地位別戦略は、業界内の企業を、経営資源の質、量の多寡により、
「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」の4つの競争地位に分類し、各々のポジションに最適な戦略のあり方を考えるもの、とのことです。
ここでちょっと注意することは、「相対的」というところです。
リーダーなどに比べれば、質が低い、量が少ない、ということです。
世間一般に考えて、質が低い、量が少ない、という意味ではないです。
次に、嶋口充輝教授の、競争地位別戦略の競争対抗戦略フレーム(くだもの小僧用に少し修正入れてます)を掲載します。
リーダーの戦略定石(くだもの小僧用に多少修正を入れてます)を載せます。
嶋口充輝教授の戦略定石を見ると、なるほどなと思います。
■市場のパイを大きくする
■競合の模倣をして潰す(NTTがよくやってました)
■低価格競争には応じない
■最適シェアを維持
自動車業界の競争地位別戦略を考察してみる
各社の主要業績を見る
まず、前掲の7社の業績を表にしました。
決算日は、三菱自動車だけが2022年6月24日で、他の6社は2022年3月31日です。
上記の業績表を見ると、トヨタがダントツでリーダーなのが分かります。
ネットを見てると、よく「トヨタの全方位戦略」という記事を見かけますが、トヨタが全方位戦略をとるのは、リーダーとして当然なことなのですね。
売上高ベースで見ると、ホンダはトヨタの半分弱、日産は4分の1強、マツダは10分の1ほどです。スズキが小型車集中で頑張ってますね。
競争地位別戦略の図
くだもの小僧の勝手な解釈かも知れませんが、欧米諸国や中国が電気自動車を声高に叫んでいる中、内燃エンジンで頑張っているトヨタは、世界的な自動車業界で見ると、チャレンジャーではないでしょうか。
電気自動車って、バカ高いし(くだもの小僧は買えません)、全然エコじゃないし、不便だし、雪に弱いし、なぜ電気自動車を強制しようとするのでしょうか。不思議です。
最近は内燃エンジンの見直しが欧米でも見られているようです。当然です。
トヨタの有価証券報告書を見ると、「水素エンジン」と言う言葉が4か所見つかります。
水素エンジンに力を入れているのが分かります。
このまま、水素エンジンが主流になれば良いと思ってます。
ホンダがチャレンジャーというのは、そのイメージが強くありますね。
ホンダは早くからF1に参戦しましたし、ホンダのバイクは世界を席捲しました。
ところで、「競争地位別戦略の図」で見ると、ホンダは、相対的経営資源の質は「低い」
ことになってしまうのですが、これはチャレンジャーはリーダーよりも「低い」と位置付けられるわけで、ホンダの質が低いという意味ではありません。
戦略的には、リーダーとの差別化を図り、あわよくばリーダーの地位を奪おうとするものです。
後述するキリンビールにその雰囲気を感じます。
ニッチャーであるスズキは、特定分野(小型車)でミニ・リーダーの地位を確保しようとする戦略ですね。
その他業界の競争地位別戦略
コンビニ業界
主要各社の業績(決算日は2022年2月末)
スリーエフはローソンに、サークルKサンクスはファミリーマートに経営統合されましたので、フォロワーはいない状態としてます。
ビール業界
主要4社の決算日は2021年12月31日。ヤッホーブルーイングは分かりません。
昔はキリンビールがリーダーだったのですが、スーパードライのヒットで逆転しましたね。
でも、その差はあまりないです。
ハンバーガー業界
決算日は、マクドナルドが2021年12月31日、モスバーガーが2022年3月31日、ロッテリアが2022年3月31日、フレッシュネスバーガーが2019年3月31日。ロッテリアとフレッシュネスバーガーの売上高は推測(未上場のため損益計算書が開示されないので)。
マクドナルドは若い頃、喜んで食べてましたが、今は食べなくなりました。個人的にはモスのライスバーガーが好きです。フレッシュネスバーガーは、実はこの記事で調べるまで、知りませんでした。
化粧品業界
主要4社の決算日は、ともに2021年12月31日。花王は化粧品部門のみの金額です。当期純利益、総資産額は分かりませんでした。
花王は、昔はカネボウと言う会社で、資生堂と広告宣伝で張り合っていました。花王の力が強いので、チャレンジャーにしました。
コーセーとポーラ・オルビスは特徴的な強みがあるので、ニッチャーにしました。
フォロワーはちょっと分からないので、その他化粧品会社を入れました。
終わりに
マーケティングの神様であるコトラーの説に則って、競争地位別戦略の図を書いてみましたが、意外にピタッと当てはまる業界・企業が見つかりませんでした。
理屈を書くのは、むしろ簡単かと思います。
理論は最初に作ったことに意味があるわけですね。
コトラーの影響力はものすごく、コトラーを研究する人もたくさんいるようです。
まだご存命です。