経済

常識が財務省の中では通じない→複数の議員が訴えています

西田議員の頑張り

くだもの小僧と申します。
主に、会計や経済などのコンテンツをブログに投稿しております。

なぜ、会計や経済などのコンテンツを主に投稿しているかと言いますと、
それらは現代社会においてとても重要なことでありながら、
厄介なことにとてもややこしいので、多くの人が日々の生活に流されるまま、
会計や経済のことを十分理解しないままに過ごしているのではないかと思うからです。

くだもの小僧も長い間そうでした。今は少しずつ知恵を付けるように努力しています。
このブログが、少しでもお役に立てればと思います。

それでは本題に移ります。
まずは、下記の動画のリンクを掲載します。

【西田昌司】常識が財務省の中では通じない、通してしまうと、とんでもない嘘がバレてしまうから隠している国債の事実【国会切り抜き】

今回は、この西田昌司議員の動画に沿って話をしていきます。

時と場所は、2022年3月15日の参議院の財政金融委員会です。
一年以上前のことです。

西田議員は冒頭あたりで「信用創造」に言及されています。
一番大事なポイントは信用創造ということ

非常に重要な内容なのですが、くだもの小僧にとってはなかなか難しく、このブログを書くのに非常に時間がかかりました。

ところで、日本国においては通貨と言えば円ですので、円である通貨を前提として貨幣を論じます。

ああ、すでにややこしくなってしまいましたね。
これから先はなるべく通貨と書かず、貨幣と書くようにします。

貨幣供給量⇒一番大事なポイントは信用創造

貨幣供給量のコントロールは、国の経済にとって重要な問題です。
よろしければ、下記の拙稿をご覧ください。

日本のGDPが成長してない原因を理解してその理不尽さに気づきましょう

専門家の人に言わせたら、色々突っ込みどころがあるかも知れませんが、
ざっくりと本質を理解できることを主眼としておりますので、細かいところには目をつぶって書き続けていきます。

マネーサプライとハイパワード・マネー

貨幣供給量に関して、知っておくべき2つの言葉があります。

1つはマネーサプライ(マネーストック)です。

もう1つはハイパワード・マネー(マネタリーベース)です。

1つと言いながら、それぞれ別名がありますので、ややこしいですね。

それぞれの意味は、ざっくり言って下記のとおりです。

マネーサプライ(マネーストック)=貨幣供給量

ハイパワード・マネー(マネタリーベース)=流通現金と日銀当座預金の合計

どう違うの?同じじゃないの?と思われそうですが、両者は同じではありません。

下記のような関係があります。

マネーサプライ = 貨幣乗数 × ハイパワード・マネー

貨幣乗数とは何ぞや、となってしまいますが、後で記述します。

要するに、マネーサプライはハイパワード・マネーを何倍かしたものだということです。

つまり、マネーサプライの方がハイパワード・マネーより大きいです。ずっと大きいです。

信用創造とは

ここで信用創造についてグーグルからの説明を記載します。

信用創造とは、市中銀行の受け入れた預金が、貸し出しを通じ、さらなる預金を生み出し、これによって預金通貨が創造される仕組みである。

すなわち、預金・貸付の繰り返しによって、何倍もの預金・貸付が生まれるということです。

簡単な事例を示します。
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仮にある預金者(X氏)が甲銀行に1,000万円を預けたとします。
1,000万円預金が銀行に計上されます。
日銀当座預金の法廷準備率(支払準備率)を仮に10%とします。
甲銀行は、1,000万円の10%、100万円を法定準備預金として日銀当座預金に預けます。
甲銀行は、残りの900万円を、A社に貸し出します。
A社はその900万円を、乙銀行に預け入れます。
乙銀行は、900万円の10%、90万円法定準備預金として日銀当座預金に預けます。
乙銀行は、残りの810万円を、B社に貸し出します。
B社はその810万円を、丙銀行に預け入れます。
丙銀行は、810万円の10%、81万円法定準備預金として日銀当座預金に預けます。
丙銀行は、残りの729万円を、C社に貸し出します。

以下続く
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さてここで、
実際に最初に預金した金額は、1,000万円です。

預金総額は、最初の1,000万円を支払準備率(10%=0.1)で割った値となりますので、
1,000万円/0.1=10,000万円で1億円となります。
下記のとおりです。

よって、
信用創造された預金額=預金総額-はじめに預金した金額
=1億円-1,000万円=9,000万円
となります。

上記の例では、ハイパワード・マネーは1,000万円であり、
マネーサプライは1億円となります。

このように、元々1,000万円であった預金が、信用創造により1億円に増えました

※前後しましたが、ここで支払準備率(法定準備率)について記載します。(Googleサイトの説明より抜粋)

金融機関の預金残高のうち、中央銀行への預け入れを義務付けられている比率
中央銀行が預金準備率を操作することにより、金融緩和や引き締めを行うことがあります。

西田議員の説明に沿って、X氏に1,000万円を貸し付けたところからの取引で始めます

さて、上記の例では、元々1,000万円という現金があって、それを銀行に預金し、銀行はそのお金を貸し付けに回したということにしました。

ここで、最初に元々預金者(X氏)は現金を持っておらず、Z銀行から1,000万円を借り入れたとします。

Z銀行から見ると、X氏に1,000万円を貸し付けたということです。
西田議員の動画の41秒あたりから文字起こしします。

「銀行がお金を貸し出すことによってですね、銀行預金が生まれてくると、いわば無から有が生まれてくる、そういう仕組みで現代の社会の中でですね当り前に行われている、これ事実であります。理論じゃなくて事実であります。」

預金者(X氏)は、Z銀行から貸し付けられた1,000万円を、甲銀行に預けたとします。
ここから先は既に上述した「簡単な事例」の下りとなります。

つまり、銀行貸し付けによって1,000万円が生じましたけれど、それは元々あったお金では無かったのです。
Z銀行が1,000万円を貸し付けたと記帳しただけです。
しかし信用創造によって、結果として1億円という貨幣が流通しました

しつこいですが、もう一度書きます。X氏は1円もお金を持っていませんでしたが、Z銀行が1,000万円を貸し付けたことにより、信用創造が働いて1億円が生み出されたのです。

すなわち、西田議員の発言、
「いわば無から有が生まれてくる、そういう仕組みで現代の社会の中でですね当り前に行われている、これ事実であります。」
です。

くだもの小僧は、なかなかここのところが理解できないので、しつこく書かせていただきました。
どうしても、まずお金を稼いで、それを預金し、そこから貸付に回すのだという、逆の発想に縛られてしまっているのですね。

マクロ経済は、ミクロ経済とは考え方が違うのですね。

私たちは、ついついミクロ経済だけで考えてしまいがちです。
(すなわち、節約は美徳である。国民も税金をたくさん払うことで、財政は健全化する。
⇒マクロ経済ではそうではありません。特に日本国においては。)

貨幣乗数とは

最初の方で、
マネーサプライ = 貨幣乗数 × ハイパワード・マネー
と言う式を書きました。

それでは貨幣乗数の式を書きます。

あれ、これって、マネーサプライ = 貨幣乗数 × ハイパワード・マネーの式の
ハイパワード・マネーを分母に持ってきただけじゃないか、と思われそうですが、その通りです。

ハイパワード・マネーの何倍かを示したものが、マネーサプライなんですね。

もう少し詳しい式がネットでも上がっていますので、それをここでも記載します。

マネーサプライをM、ハイパワードマネーをH、現金通貨をC、預金通貨をD、
法定準備預金をRとします。
※C/D=現金預金比率、R/D=支払準備率(=法定準備率)


分子も分母も、預金通貨(D)で割ると、貨幣乗数はこのような式になるということです。
ちょっとややこしいですね。

終わりに

今回は、信用創造までで終わってしまいました。

でも、ここを理解できれば、本質を理解したことになるのではないかと思います。

西田議員に指摘されてますけど、政務三役も理解できてないように見えます。

西田議員の動画について、以降は次回にします。