信用創造について
くだもの小僧と申します。
主に、会計や経済などのコンテンツをブログに投稿しております。
前回のブログでは、西田昌司議員の、2022年3月15日の参議院の財政金融委員会の内容について、信用創造をメインに記述しました。
下記のリンクをご覧ください。
信用創造は、くだもの小僧にとっては非常に難しい考え方で、どうしても、まずお金を貯めて、そのお金から支出に使うという発想に縛られてしまいます。
でも現実は、西田議員の言う通り、銀行が貸し付けを行ったと記帳すれば、信用創造によりお金が生み出されるのです。西田議員の発言を、動画の2分25秒あたりから文字起こししてみます。
「銀行は、皆さん方がお金を預けた、預けたお金を貸しているという風に一般的に思われているんですが、現実はそうじゃないということなんです。預けたお金で貸しているんじゃなくて、何もないところからお金を貸したら、その貸した人の銀行預金が増える、これが事実だということを、今、日銀が言ってくれたわけですね。」
それでは以降、国債発行も、信用創造によりお金が生み出されるということを、西田議員の動画に沿ってみて行きたいと思います。
国債発行を行い財政支出をすると国民が豊かになる
国債発行→財政出動→民間の預金が増える
西田議員の動画により、信用創造を通じて、貸し付けにより民間預金が増えるということを、理解していただけたと思います。
その発言に続けて、貸付と同様に、新規国債発行により財政出動することで、民間預金が増えることを西田議員がおっしゃってます。
動画の2分45秒あたりから文字起こししてみます。
「実はこの同じことがですね、新規国債発行により財政出動すると、でそうするとですね、政府の負債は増えるが、同額の民間預金がですね、預金が民間部門で増えることになるということなんですが・・・」
この西田議員の発言に対して、日銀の局長が回答していますので、動画の3分20秒あたりから文字起こししてみます。
「銀行は国債の金利や償還までの期間と言った条件が、自らの投資目線に見合ったものと判断すれば、国債を購入いたします。その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使いますと、その資金は家計や企業の預金口座に流入し、預金がそれだけ増加いたします。このように、銀行の国債購入分だけ民間の預金が増えているという意味で、貸し出しの場合と同様、信用創造が行われている」
このように、国債発行は貸し出しと同様、信用創造が行われ、民間預金が増えるということです。すなわち、国民が豊かになるということです。
仕訳によって考察してみる
西田議員と日銀のやり取りにより、財政支出によって民間預金が増えることが明らかにされました。
ここで、信用創造で発生する仕訳を見てみます。
(銀行) 貸付金 1,000万円 / (銀行) 普通預金 1,000万円
(民間) 普通預金 1,000万円 / (民間) 借入金 1,000万円
このように、貸し付けを行うことによって、お金が生み出されます。
ここで、貸し付けと預金を繰り返すことにより、信用創造による預金総額は、支払準備率で割った値まで膨らみます。
下記拙稿をご参照ください。
そして、動画の3分30秒あたりからですが、西田議員は、
「国債発行による財政出動が事実上の信用創造である」と言われています。
続けて西田議員は、仕訳について述べられています。
ここで述べられている仕訳を下記に表示します。「:」でコメントを付加します。
国債発行
(日銀) 日銀当座預金 / (政府) 国債 :政府が国債を発行
(銀行) 国債 / (日銀) 日銀当座預金 :銀行が国債を購入
財政出動
(政府) 財政支出 / (日銀) 日銀当座預金 :政府が調達した資金を使う
(民間) 普通預金 / (民間) 売上 :財政支出で売上が上がる
(日銀) 日銀当座預金 / (銀行) 普通預金 :売上の分預金(負債)が増える
民間の預金が資産であるのに対して、銀行の預金は負債となります。
ちょっとややこしいですね。
この仕訳のくだりは、聞いているだけだと難しいかも知れませんが(財政金融委員会では資料が配られています)、上記の仕訳を見ながら、西田議員の発言をよく聞き返して理解していただければと思います。
動画の4分50秒あたりからですが、日銀当座預金は相殺されるということで、そこを省いて部門ごとにまとめた仕訳に書き直してみます。
(政府) 財政支出 / (政府) 国債 :政府は国債を発行し財政支出を行う
(銀行) 国債 / (銀行) 普通預金 :銀行は国債を買い預金が増える
(民間) 普通預金 / (民間) 売上 :民間で売上が上がり預金が増える
要するに、
政府の負担が増えた分、民間側に預金が増える
→財政出動は元での資金なしに預金が発生する(信用創造と同じ)
と言うことを主張されています。
つまり、現状では事実上、国債購入の資金は銀行側に潤沢に保有されている日銀当座預金である、預金者から預けられているお金ではない、と言うことです。
終わりに
全く財政のことを分かっていない財務省事務次官
西田議員の動画の冒頭にでてくる話ですが、以下、西田議員の発言を文字起こしします。
動画の20秒あたりからです。
「この方は全く財政のことを分かっておられないなと思いました。で、なぜかと言うとですね、つまり国債発行とは一体何を意味するのかという根本的なところが、理解がされてないようにおもいますので・・・」
財務省の事務次官が、財政のことを全く分かっていないとはどういうことでしょうか。それで日本国は大丈夫なのでしょうか。
この動画は2022年3月15日の参議院財政金融委員会でのことであり、現在の財務省事務次官は変わっています。
しかしながら、財務大臣は未だ変わっておりません。財務省の姿勢は果たして変わったのでしょうか。
変わっているとしたら、国民を豊かにするために、一生懸命施策を実行されているはずです。
次回もこの件について述べていきたいと思います。