目次
プロローグ
日本の経済力ってぶっちゃけ如何ほどなんでしょう。
「一生懸命働いてるけど全然給料上がらない!」
「家賃とか教育費とか出費が多くて貯金できない。」
「今の年金だと老後の生活が心配。定年後も働かないと。」
一般庶民の現実的なつぶやきではないでしょうか。
ぼやかずにはいられません。
いわゆる平成バブルと呼ばれた期間は、日本は世界一のお金持ち国と言われてました!
ところがバブルがはじけて、日本の経済成長率は止まったままで、ずっと低空飛行です。
だから「働けど働けど猶わが暮らし楽にならざり」なのか・・・
イメージだけで追ってしまうと間違いに陥りますので、データを見ながら考えていきましょう。
日本の経済成長の現状
日本のGDPは過去30年間ほとんど伸びていない
驚くことに、かれこれ30年間日本のGDPはほとんど伸びていません。
用語:GDP(国内総生産)
国の経済力を測る指標としてGDPがよく使われます。
GDPとは英語では「Gross Domestic Product」、日本語では「国内総生産」です。
一定期間に国内で生産されたすべてのモノ、サービスです。
30年間伸びてないって、国の経済政策としてはまずいのでは?
はい、まずいです。(;_;)
日本はGDP世界第三位の経済大国と言われます。ニュースなどでも耳にしたことがあると思います。下記にGDPの多い順を記載します。
一位がアメリカ、二位が中国ですね。
三位なら大したもんじゃないかと思いそうですが、人口が多ければその国のGDPは当然高くなります。例えば中国のようにです。
一人当たりGDP 他国との比較
ですから一人当たりGDPを比べてみます。
下記の外部リンク「世界経済のネタ帳」で一人当たりGDPの詳細情報を得られます。
(このリンクは非常に便利で各国の主要産業やGDPの推移なども掲載しています。詳しく知りたい方はこの「世界経済のネタ帳」をご覧ください。)
この資料を見てると世界を俯瞰した日本の立ち位置が分かったような気になりますね。
ところで世界の一人当たりGDPの元ネタはIMF統計です。
用語:IMFって何?
IMF とは何かと調べてみると
英語では「International Monetary Found」、日本語では「国際通貨基金」です。
基金ということですから出資者がいます。一位がアメリカ、二位が日本です。
国際連合の一機関です。
主な役割は「為替の安定化」とのことです。
1997年に韓国が通貨危機(=経済危機)を起こしたとき、IMFが出張ってきて色々救済措置を講じました。
日本の一人当たりGDPは28位です。あれれ、世界第三位と思っていたら、
一人あたりだとずいぶん低くなりましたね。
下図に一人当たりGDPの1位から30位までを表示しました。(2021年IMF統計)
人口の少ない国は一人当たりGDPの振れ幅が大きくなります。つまり上位になる可能性が高くなります。
それで、その右端列に人口を記載しました。
地域別での考察
もうちょっと詳しく見てみましょう。
日本より一人当たりGDPが多い国のうち、西欧が16か国、北米2か国、アジアが4か国、中東が3か国、オセアニアが2か国です。西欧、北米がお金持ちのイメージがありますね。
北米
北米は2か国だけです。アメリカ(6位)とカナダ(15位)です。
アメリカは別格ですね。人口も一人当たりGDPも多いです。
西欧
西欧では大国と呼べる人口規模の国は、ドイツ(18位)、イギリス(22位)、フランス(23位)です。昔からの大国ですね。
人口が1千万人台の国がスエーデン、オランダ、ベルギーです。
後の10か国は人口が1千万人に満たない国です。1位のルクセンブルクは人口60万人です。
ちなみにイタリアは29位で日本の一つ下です。ここまででG7の国が揃いました。
アジア
アジアで日本より上位の国はシンガポール(5位)、香港(20位)、
ブルネイ(24位)、マカオ(25位)です。4か国とも人口は少ないですね。
(香港やマカオは国ではなく特別行政区ですがIMFに倣って記載しています。)
中東
中東ではカタール(8位)、イスラエル(17位)、アラブ首長国連邦(26位)です。
中東の産油国ってめちゃ金持ちというイメージがあったのですが、実際は下記の順位です。
クェート(37位)、バーレーン(40位)、サウジアラビア(42位)
オセアニア
オーストラリア(10位)、ニュージーランド(21位)です。
オーストラリアは天然資源も豊富ですね。
日本は金持ち国?それとも大したことない?
小国は振れ幅が大きいので、勝手ながら比較の対象外といたします。オーストラリアにはごめんなさいですが、人口3000万人超を対象にします。
そうすると人口3000万人超で、一人当たりGDPが日本より上位の国は、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランスでG7の中の5か国となります。イタリアは日本のわずかに一つ下です。
微妙ですね。日本はGDP額だと世界第三位ですけど、一人当たりGDPですと、大国の中で数えると6位です。
日本の問題点
むしろ問題なのはこの30年間日本のGDPがほとんど伸びていないということです。他の国が伸びているのに日本だけ伸びてないので、相対的な地位も下がっているわけです。
GDPの伸び率は日本は超低空飛行
それでは過去30年間、1992年と2021年のGDPが何倍になったかを比べてみます。(下図は前掲「世界経済のネタ帳」より。下図のグラフは1980年から2020年の推移の図となっています。)
日本はなんと1.06倍しか増えていません。
上記と同じ年でアメリカは2.7倍、カナダ2.6倍、ドイツ2倍、イギリス2.7倍、フランス1.9倍、イタリア2.2倍に増えています。中国に至っては34倍です。
下記にアメリカ、ドイツ、中国の一人当たりGDPの推移のグラフを載せています。
他の3国は、順調に右肩上がりのグラフです。
日本のグラフが1992年以降ほとんど横ばいなのが恨めしいですね。
GDPの伸びについては、人口の増加以外にもテクノロジーの進化とか働く人の創意工夫とかありますので、30年間で2倍くらい増えるのは当然のことです。
終わりに
なぜ日本はこんなことになってしまったんでしょうか。政府はどのような対策をしていたのでしょうか。また、これからどのような対策をするのでしょうか。
また、適切な対策を講じるためには、GDPが伸びなかった原因を明らかにする必要があります。
でも逆にこれだけGDPが増えてないのに、未だに全体規模では世界3位を維持しているのはすごいと言えばすごいですね。不思議とも感じます。