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長らく組織というものに身を置いていました
私はずっとIT業界に漂っていましたので、たくさん転職をしてしまい、数多の組織に所属してしまいました。
『してしまいました。』と書いている時点で、計画的にキャリアを積んできたわけではないことを物語っていますね。
新卒で入った会社がたまたまIT業界であった、独立心もなかったので与えられた仕事をこなし続けて会社に居続けた、会社を辞めても結局再就職できるスキルがITしかなかったので、結局IT業界に居続けた・・・
でも、曲がりなりにもこの仕事を続けられたのは、勉強を怠らずスキルをつけたからです。
(おいおい、自慢かよ。)
さらに言うと、もし大したスキルを持っていたら、個人でも法人でも起業して人を雇う立場になっていたはずですから、私のスキルはその程度のものだったということです。
起業するには、度胸とか先見の明も要るでしょうから、そういう人が起業家にふさわしいのかも知れません。
組織において発生する弊害
ところで、私が所属した会社には立派な人もいましたが、「こんな人が上司?」と思う人もたくさんいました。
ITのスキルはお粗末なのに、なぜかしら「長」の付く立場についており、話してみると、案の定中身のない薄っぺらいのが少なからずいました。
そんな人はたいてい、上の人にはべんちゃらがうまいです。下の者には高圧的な態度か、八方美人タイプでした。
そんな人ともうまくやっていくのも世渡り術の一つかもしれませんが、私の場合はうまくできなかったですね。
それはさておき、私が所属していた会社はどれも階層構造をもった組織で、社長がいて、その下に何人かいて、またその下に何人かがいて、・・・という形態でした。
組織の中には、階層構造を身分階級と勘違いしているような人もいました。
そういう人は、当然のように他人には理不尽な要求を突き付けてきます。
でも人間とは弱い者で、なぜかしら「長」と名の付くものになびいてしまう習性があります。
かくしてその組織はよろしくないものとなり、被害者が発生します。
会社全体が腐っているとは限りません。親会社はまともだが、子会社が腐っているとか、一事業部とかある課が腐っている場合もあります。
最近は「ハラスメント相談員」という資格ができたようですが、少し前まではパワハラ、セクハラが日常茶飯事の世の中でした。
理不尽な行動をする輩が、いなくなるようになってほしいですね。
パワハラやセクハラは、生産性の向上を阻害します。
結果、会社の業績は伸びないことになります。
とどのつもり、日本のGDPも伸びないことになります。
官僚制とは
ほとんどの社会人は官僚制の中で生きている
「官僚」と聞くと、霞が関の連中とか、上級公務員を思い浮かべてしまいます。
「官僚」とは、事なかれ主義で国を停滞させるとか、税金を増やすことで出世することばかり考えてるとか、退職後は天下り先で仕事もせずに高給を取るとか、よいイメージはないですね。
「官僚制」とは官僚たちが構成する、制度・システムのことと思ってました。
しかしながら、「官僚」ではなく「官僚制」を辞書で調べると、
・「専門化・階統化された職務体系、明確な権限の委任、文書による事務処理、規則による職務の配分といった諸原則を特色とする組織・管理の体系」(広辞苑)
・ 「合理的な規則や秩序に従って組織の目標を効率的に達成しようとする管理運営の体系・形態。」(goo辞書)
とありまして、どうやら「官僚」のことだけを指しているのではないようです。
うーん、「専門化・階統化」「職務体系」「権限の委任」「文書による事務処理」「規則」「組織・管理の体系」って何のことだろうか。
あれれ、これって自分が今まで所属してきた会社の組織のことではないか?!
なんと長年にわたって、自分は「官僚制」の中で生活してきたのか。
これはしたり、迂闊であった。
でも思い起こしてみると、会社ってずいぶん『おバカ』なことを真面腐ってやってるところだったと思います。
『おバカ』なことでも真面目に続ければ、会社は存続するみたいです。
官僚制の特徴とは
それでは、私が知らぬ間に生活してきた「官僚制」とはどのような特徴をもっているのでしょうか。私のコメントを添えて、以下に列挙します。
❶専門化と分業
営業なら営業マン、技術なら技術職、総務なら総務と役割を明確にします。
その役割に専念することで、仕事は効率化するとされます。
❷規則と手続き
すべてのメンバーに、それに準拠して行動するよう枠にはめるもの。
「就業規則」が思いつきますね。でも、今までに隅から隅まで読んだことはありませんでした。会社によっては、全く見たことがなかった場合もありました。
近年は手続きもITでワークフロー化されて、申請書類が仕事をしない部長の書類ボックスに、何日もほったらかしにされることは少なくなったかも。
勤怠表も電子化が多くなりましたね。
現場に出されると、ユーザへの報告書も作成しなければならないので、オーバーヘッドが増えます。
❸階層構造(ヒエラルキー)
例えば、社長がいて、事業部長がいて、課長がいて、課長の下がいて、その下のやつが私に何かしら指示をしてくる。
社長がすべての指示を把握できませんから、各組織のレベルに応じて権限を委譲します。
下図(出典:マネーフォワードクラウド会計)をご参照ください。
トップマネジメント(社長始め取締役など)が経営計画策定、組織編制、重要な人事配置の意思決定を行います。
ミドルマネジメント(事業部長とか部長とか課長など)がトップマネジメントの意思決定に沿って、当該部門領域を事業として実際どうやるかの意思決定を行います。
ロワーマネジメント(課長とか主任など)が現場レベルにおける部下の指導、監督、業務執行の意思決定を行います。
階層構造組織の良いところは、一人のマネージャーのみが指示を与えるということです。これを「命令の一元化」と言います。
(もし、複数のマネージャーが好き勝手に指示を出したら、受ける側はひどい目にあいます。)
❹文書による伝達
「文書主義」という言葉があります。文書は正確に伝達され、保存され、共有されなければならない、というものです。行政機関では絶対ですね。 会社ではどうでしょう。
❺専門的な知識や技術をもった個人の採用
縁故などで能力のない人を採用してはいけない、ということです。逆に恣意的な降格、解任を排する必要があります。
・・・>これはどうでしょうか。理不尽なケースが未だにありますよね。
官僚制の逆機能
「官僚制の特徴とは」の前あたりで、
「会社ってずいぶん『おバカ』なことを真面腐ってやってるところ」と書きました。
実際、それは「官僚制の逆機能」と言われるもので、昔から課題となっています。
官僚制の逆機能
「目的置換」
本来、組織目標を達成するための手段にすぎない規則が、組織メンバーにとって目的になってしまう状態。
⇒これは根本ですね。悲劇ですが、非常に良くあることです。
「繁文縟礼(はんぶんじょくれい)」
規則や手続きが細かすぎて、業務の遂行がかえって非効率となっている状況。
⇒組織目標の達成のために、規則や手続きを作るのですが、却って規則や手続きに忙殺されてしまった状態です。
「それは規則ですから。」と規則第一主義者が現場の生産性を下げる状態。
「形式主義」
規則通りの行動しかとらない状態。
⇒これも規則が目的になってしまう状況。組織目標の達成がどこかへ行ってしまってます。生産性は下がります。
「訓練された無能」
規則化された最低限の行動しかしない、古い規則を固執するあまり革新的な行動を許容しない状況。
⇒「それはうちの仕事ではない!」と言って、他者を助けたり皆の役に立つことを考えようとしない人。「組織目標の達成なんて知ったことじゃない。」と思ってる人。
イノベーションは起きないでしょう。
「セクショナリズム」
会社全体の目標、利益よりも、自己部門の目標、利益を優先する。
⇒これも組織目標の達成なんてどこかへ行ってしまって、自分たちの利益が最優先となった状況です。
「うちの作業を優先してもらわないと、うちが困る!」と怒鳴る人。会社が傾きます。
極端な話、組織目標が実現できれば、規則なんてなくてもかまわないのです。(労働基準法など法律の縛りはあります。)
実際問題としては、社員の人数が増えてくると、会社はだんだん官僚制の様相を強めていく傾向があります。
(昔は良かった。社長と一緒に会社を良くしていくことを一生懸命考えた・・・今は。)
終わりに
官僚制とは、現実、多くの人が所属している組織でした。
ですから、多くの人がストレスを感じて生活しているのですね。私もそのうちの一人でした。
皆が不要なストレスを減らしながら成長できる世の中にしていきたいですね。
人間とは身勝手な生き物です(私もそう)。