「TTMつよし」が語った楽天の経営状態の動画
皆さんは「TTMつよし」というユーチューバーをご存じでしょうか。
登録者数は15.5万人だそうです。わりと有名ですよね。
私が参考にした動画の視聴数は12万回になってます。
下記の動画です。
本記事は、この動画を元にして、楽天の経営状態を数字に基づいて考えてみたいと思います。
「TTMつよし」の動画の中で、いくつか数値が検証できなかった部分がありますので、その点はご容赦願います。
検証できた分だけ、記事に書きます。
資料は、楽天グループ株式会社2022年12月期第3四半期決算短信を基にします。
下記の外部リンクから参照できます。
第3四半期の財務諸表なので、フローの金額は1月1日から9月30日までの金額になります。
※例えば、(自 2022年1月1日 至 2022年9月30日)の欄に書かれる金額です。
国際会計基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)による財務諸表です。
楽天の主要財務諸表の金額をざっくりと見ます
楽天のキャッシュ・フロー計算書
動画の中で、「楽天はキャッシュが4兆円、借金が3兆円くらいある」ということでしたので、まずキャッシュ・フロー計算書から見てみます。
※決算短信のPDFの枚数で言うと、19枚目と20枚目です。
確かに、上図のキャッシュ・フロー計算書の最下行の「現金及び現金同等物の四半期末残高」を見ると、確かに4兆5711億65百万円ありますね(残高はフローではなくストックです)。
(赤下線をご確認ください。「以下同様」)
ところで、このキャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー合計」を見ると、当期の金額はマイナス44億7417百万円となっており、この時点で経営状況は非常に悪いことが見て取れます。
なぜなら、本業によるキャッシュ・フロー合計が44億円以上ものマイナスだからです。
そもそも「営業活動によるキャッシュ・フロー」の一番上の行の「税引前四半期損失」となっており、赤字であることが分かります。
それではなぜ「現金及び現金同等物の四半期末残高」が、前期より当期の方が7300億円ほど増えているのか?
それは「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「銀行事業の長期借入による収入」が
1兆5756億円あるのが主な要因です。
借入でキャッシュを増やしているので、あまり好ましいことではありません。
楽天の貸借対照表
国際会計基準では貸借対照表とは言わず、「財務状態計算書」と言います。
私は貸借対照表の方が言い慣れています。日本基準では貸借対照表です。
下図に掲載します。
※決算短信のPDFの枚数で言うと、10枚目です。
※また、前連結会計年度は2021年12月31日となっております。楽天は12月決算です。貸借対照表(ストック)の場合、期末の金額と比較するのですね。
動画の中の「借金3兆円」は、「社債及び借入金」の1兆7625億78百万円と
「その他の金融負債」の1兆4279億93百万円と思われます。
合計すると、3兆1905億71百万円になります。
ここで財務諸表を見る点で気になるのは利益剰余金がマイナスになってしまっている点です。よろしくない財務状態ですね。
ちなみに当期の、キャッシュ・フロー計算書の「現金及び現金同等物の四半期末残高」と貸借対照表の「「現金及び現金同等物」は4兆5711億65百万円で、合っています。
前期の場合は、キャッシュ・フロー計算書は「前期3四半期連結累計期間」に対して、貸借対照表は「前期会計年度」ですので、金額は合いません。比較対象が違いますから。
楽天の損益計算書
下図に掲載します。
※決算短信のPDFの枚数で言うと、11枚目です。
損益計算書を見ると、当期も前期も赤字ですね。これだけでも財務状態が悪いと判断できます。
「税引前四半期損失」の下に「法人所得税費用」と言う勘定科目があります。この金額分だけ「四半期損失」がプラスになって(マイナスが少なくなって)います。
「法人所得税費用」は、国際会計基準の科目とのことです。
楽天グループ株式会社では、2019年以降赤字続きです。
まさにモバイル事業を立ち上げてから赤字が続いています。
なぜこんなに経営状態が悪くなったのか
「TTMつよし」も動画の中で言ってますが、モバイル事業を立ち上げてから、楽天の経営状態は悪化したのです。
原因が、ものすごく分かりやすいです。
セグメント報告書の図を下記に掲載します。
※決算短信のPDFの枚数で言うと、24枚目です。
インターネットサービスとフィンテックが黒字なのに、モバイルが大きく赤字で、合計でも赤字になっています。
動画の中では「楽天市場などで約580億円の黒字、楽天カードなど金融事業で約740億円の黒字、楽天モバイルが約3800億円の赤字」と言っています。
終わりに
「TTMつよし」も言ってますが、NTTドコモとauとソフトバンクとで、ほぼシェアもプラチナバンドも3社の寡占状態になっています。
本当にプラチナバンドの帯域を、他社が楽天に譲る約束になっているのでしょうか。
それを信じて楽天は、せっせと基地局を作っているのでしょうね。
でも、モバイル事業が成功しなければ楽天自体が危なくなりますね。
色々調べてみると、この話題は他ユーチューバーもたくさんアップしてました。
今回は取り急ぎ、楽天の財務諸表を実際に見てみるというテーマで終わります。