業務システムについて
私は、入社してかなり長い期間、業務システムについて全く知らず、ほとんど無関係な状況でした。
ネットワークとかデータベース関連の作業が多かったです。
しかしながら、だんだん会計システムに触れる機会が増えてきました。
会計はすべての会社に必要なシステムだから、会計システムをマスターすれば、仕事の幅がずいぶん広くなると思って、自力で簿記を覚えました。
ですが、ずいぶん効率の悪い勉強だったと思います。時間もかかりました。
いくらか会計システムで仕事ができるようになると、次に会計以外のシステムとも接点ができるようになりました。
販売システムや購買システムなどです。
さらには、在庫管理システムや生産管理システムにも触手を伸ばしました。ここで言う生産管理システムは、製造工程管理システムを指してます。
一般的には、生産管理システムとは購買や販売の管理システムそして在庫管理システムも含めたものを言うようです。
ざっくり言ってしまうと、会計・人事システム以外をまるっと生産管理システムと言ってます。
本記事で言う生産管理システムは、製造工程システムと生産計画システムです。
ずいぶん昔のことですが、新聞に、IBMが業務システム全体をコンサルティングできる人材を、かなりの厚遇で雇い入れるという記事がありました。
当時はそういう人材は稀有だったのですね。
今は、ERPなるものが流行って(?)まして、かなりの企業で導入されてます。
しかし実態は、会計システムはERPで構築したけれど、それ以外のシステムはレガシーシステムのままで、ERPとレガシーを連携する部分にかなりのコストを割いている場合もあるようです。
現実は、なかなかスッキリといかないようです。
全体的に俯瞰
全体図
冒頭にも同じものを載せてますが、くだもの小僧が作った業務システム全体図を、下記のリンクに貼ります。
パワーポイントで作成してますので、ダウンロードすればスライドショーで見れます。
製造業を前提にしています。くだもの小僧オリジナルなので、ちょっと合点のいかないところがあるかも知れませんが、全体の流れを理解していただくということで、細かいところには目をつぶっていただきたいと思います。
受注生産のシナリオで作成してます(見込生産ではありません)。
各業務を見る
以降、スライドショーを進めながらスクリーンショットを貼り付けて、コメントを入れていきます。
初期図
社外組織として主要なものには、仕入先と得意先があります。つまり売り手と買い手です。
社内システムの中に各業務モジュールがあります。朱色の四角形で記しています。
業務モジュールは業務パッケージを使用する場合が多いと思いますが、自社作成のシステムの場合もあります。業務パッケージも、大きな会社になると、アドオンと言って、標準機能に改変・追加をおこなったりします(ものすごく費用がかかります)。
代表的な機能を記載します。※人事給与システムは省略しました。
・購買管理は、会社が生産・販売するために必要な資源を購買・調達します。また、購買・調達品の納期管理を行います。
・在庫管理は、社内資源である材料・部品・仕掛品・半製品などの払出し・入出庫や出来上がった製品の受入れを行います。
・生産管理(狭義)は、生産計画と製造工程の管理を行います。
・販売管理は、製品および半製品(売れる場合もあります)の販売管理を行います。
・債務管理は、主に買掛金や支払手形の支払い管理を行います。
・債務管理は、主に売掛金や受取手形の入金管理を行います。
・固定資産管理は、資産の取得や売却・除却など、資産の状況を管理します。それによって減価償却情報を一般会計に提供します。
・一般会計は、各取引で発生した仕訳と総勘定元帳の管理を行います。決算時には、財務諸表の出力を行います。
マスタファイル
初期図に対してマスタファイルを追加しました。若草色の円柱形の図形です。
・品目マスタ:原料、材料、部品、製品、半製品、仕掛品などすべての品目を登録します。
・部品マスタ:ある製品が、どの原料、材料、部品、仕掛品、半製品で構成されているかを登録します。
・仕入先マスタ:仕入先の住所や連絡先、支払い条件などを登録します。
・得意先マスタ:得意先の住所や連絡先、支払い条件、価格決定情報などを登録します。
・仕訳帳:会計の取引を時系列に記録します。
・総勘定元帳:会計の取引を勘定科目別に記録します。
・固定資産マスタ:固定資産をすべて登録します。使用状況や設置場所の情報および耐用年数なども登録します。
・顧客情報:顧客の識別情報、顧客との対応履歴などの情報を格納します。
各業務の主な機能
黄色い四角の図形に、主な機能を記載しました。
受注から生産計画
得意先に見積書を提出して、受注を得ることができました。得意先から発注書が送られてきます。
もしも、在庫引当をして在庫があれば、そのまま発注できます。
しかし、このシナリオでは在庫がないので、受注情報により生産計画を行います。
基準日程(標準的な日程)に従って、基準日程計画を作成します。
購買・調達
必要な資源を購買・調達します。
必要な原材料や部品などを発注しなければなりません。仕入先に見積もりをかけ、見積書が送られてきます。条件を勘案して合意できれば、発注書を送付して納品依頼をします。
仕入先からの納品物の納期管理を行います。納品書とともに納品物が発送されてきます。
納品物を検収してOKならば受入れます。
製造
モノがそろえば、製造に着手できます。
ここから以降、仕訳も登場します。仕訳データは仕訳帳および総勘定元帳ファイルに登録されます。
※ここでは代表して材料だけ記載してます(原料、部品は省略です)。
材料を出庫して、製造工程に投入します。材料は費用化されます。
製造工程が進むにつれ、労働力や間接費も投入され、仕掛品ができます。
仕掛品はさらに加工され、製品が出来上がり、製品在庫に入庫されます。
受注生産の場合、納期が重要です。製造工程においても納期管理をしっかり行わなければなりません。
支払
支払を行います。
この例では、入庫した時点で材料勘定を建て、同時に買掛金勘定を建て、支払の仕訳を起こしています。
仕入先から請求書が送られてきますので、支払い条件に応じて支払い業務を行います。
支払方法は振込、手形など色々あります。
請求・入金
製品を出荷したら、それに対して請求業務を行います。請求後に得意先から入金があったら、入金消込業務を行います。
製品を納品したら、売上勘定を建てます。相手勘定は売掛金などです。
減価償却
固定資産を取得したら、減価償却を毎期行うことになります。減価償却の情報を一般会計に渡し、一般会計では減価償却の仕訳が格納されます。
売却や除却の処理も固定資産管理システムが行います。
棚卸減耗損
実地棚卸を行った場合、在庫品が使い物にならなくなっていたり、紛失している場合があります。その分を棚卸減耗損として費用計上し、棚卸資産を減らします。
顧客管理
顧客満足度を向上させるために、長期的に顧客との関係を維持向上させるためのものです。
ITシステムとしては、CTI(Computer Telephony Integration)システムで、迅速で的確な顧客対応が分かり易い例です。
終わりに
パワーポイントのファイルを使って、業務システムの流れをざっと述べてみました。
もっと早い時期に、この手のスキルを身につけられていたら、私のSE人生も変わっていたと、今になれば思います。
いかんせん、学生時代にこういうことは全く知識がなく、社会人になってからもしばらくはコンピュータを習得することに必死で、業務知識なんて全然でした。
もし、業務知識を習得したい方のきっかけになれば幸いです。
業務システムをざっくり感覚的につかめていただければと思います。